FUKUDARYU

人を雇うということ

2016/05/23

昔のことだが、ある研修でこのような話を聞いた。とある飲食店の経営者さんなのだが、税理士との打ち合わせの席でこのようなことを話し始めたそうだ。「お客さんは私たちにお金を払うのだから私たちがお客さんに気を遣うのは当然ですよね。だとしたら私は従業員に給料を払っているのだから従業員はもっと私に気を遣うべきだと思うのですけどね。」

 

さて、5月5日付のYAHOO!ニュースにこのような記事が掲載された。【町工場に新卒、社長ブログが話題に「ミラクル起きた」にネット共感】(※参考リンクは本ページ最下部参照)。ネットはどうしてこのブログに共感したのだろう。粗利から考える人件費に回せる余裕、人ひとりを熟練工化するために要する期間と投資金額、どの角度から切っても従業員数10人に満たない零細町工場には新卒採用はハードルが高い。もちろん社長もそのことを当然理解されているだろう。でもこのブログにはそういった理屈を超えた何かが書かれていた。

 

人を雇うということは機械や器具などの設備を買うこととは違う。人件費を販管費の中のひとつとしてとらえる考え方は当然間違っていないが、経営者がこの社長のような想いを持つことは、組織を新しく強い状態にステップアップさせるために必要なことのように思う。

 

社長はブログの最後をこのような言葉で締めくくる。

 

「新卒入社日というのは、ほとんどの人にとって、一生に一度の記念日だと思います。その一大イベントをおさだ工業所に選んで頂いたS君。そしてその出会いのキッカケをつくっていただき、息子さんを預けていただける親御さんに感謝です。わたしが代表になって、はじめての新卒採用者さんです。大事にしたいと思います。」

 

5月12日の日経紙面。新卒者の人気企業ランキングが掲載されていた。理系1位に味の素が6年ぶりに返り咲いたそうだ。「専門性をいかした働き方や仕事と子育ての両立支援」などを積極的にPRし、このことが功を奏しランキング1位へ返り咲く支持を集めたのではないかとのこと。味の素の新卒者採用ページにはこのようなことが書かれている。

 

「良いライフが良いワークを引き出す」

 

大企業の味の素でもそうだし、零細町工場でもそうだった。何がウケたのか。何が多くの共感を呼んだのか。

 

従業員の生活の充実。会社が従業員の人生に責を負う。先にご紹介した社長の言葉もそうだが、零細町工場であり従業員に満足な待遇ができていないかもしれない、だけれども精一杯“ひとりの従業員と向き合う”“ひとりの従業員の人生に責を負う”、その真摯な姿勢に共感が生まれたような気がする。これこそ今は希薄になっているかもしれない日本的経営の強みではなかっただろうか。人材の材を財と書いて一方的に満足しているような流行りのコンサルタントの指導からは得られない大切なことをこれらの記事から学ばせてもらった。

 

弊所でも大学卒業前の者がインターンや学業外の時間にアルバイトとして頑張っているが、この業界に興味を持ち、是非とも私たちと一緒に働きたいと思ってもらえた際には、私たちの方こそ、彼、彼女らの人生に責任を負い、しっかりと人ひとりを受け入れ一人前に育てることができる組織になれているよう日々頑張らなければならない。

 

税理士法人恒輝ではヒト・モノ・カネを中心に税務だけではなく様々な知識を武器にお客様と共存共栄させていただいております。お客様のお役にたてること、様々な経験が弊所には備わっております。共に闘い抜く、事務所のスローガンは強存強栄でございます。ヒト・モノ・カネそしてこのような+αでお悩みの経営者の皆様は是非とも弊所までご連絡いただければと思います。

 

 

小林輝之の社長室〈長田(おさだ)工業所代表ブログ〉

従業員10名以下の鉄工所に新卒入社!?ウソのようなホントの話【追記あり】

http://terukobayashi.com/archives/10749

 

味の素新卒採用情報

http://www.ajinomoto.com/jp/recruit/fresh/index.html

http://www.ajinomoto.com/jp/recruit/fresh/wlb.html

 

 

監査部一課

原浩恭