医療費控除の間違いあるある
2019/02/11 税務
いよいよ確定申告のシーズンですね。
2018年分 の所得税の申告期限は 3/15(金)となっております。
期限間際は税務署や申告会場が混雑します。
また、ギリギリに準備していたら必要な証書を紛失していた!なんてこともございますので
是非お早目のご準備を。
……なんて、わかってはいても、なかなか腰が重いものですよね。
検索サイトで「確定申告」と調べては、はああああああとついため息が出てしまう……
そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「確定申告」で検索をすると、「いつまで」や「やり方」といったワードが一緒に候補にあがってきますが、その中に出てくる「医療費控除」というワードは、五文字全部漢字なのでなかなか目を引きます。
皆様、調べてらっしゃるのですね。
1月に、弊所のブログでも取り上げた医療費控除ですが
医療費控除について
https://blog.goo.ne.jp/fukufuku-tax-honbu/e/e3a87ba35e58ed2b26e7b0687e63c776
今回は、皆様のご期待にお応えし(?)、医療費控除第二弾
「医療費控除の間違いあるある」、について書いてみたいと思います。
◇ 生計を一にしていない親の入院費を負担したとして医療費控除の対象とした。
➡ 「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族にかかる医療費を支払った場合」に限られます(法73①)。
◇ 6月に結婚し生計を一にしなくなった子にかかった4月の治療費の負担について、医療費控除の対象としなかった。
➡ 自己と生計を一にする親族に該当するか否かは、医療費を支出すべき事由が生じた時又は医療費を支払ったときの現況において生計を一にしているかどうかで判断されます。
4月は生計を一にしていると判断でき、医療費控除の対象となります(基通73-1)。
◇ 前年12月に治療を受け1月に支払った医療費について、前年分の医療費控除の対象とした。
➡ その年中に支払った医療費が控除の対象となります。未払いの医療費については、現実に支払われるまで控除できません(法73①、基通73-2)。
◇ 支払った分娩費から出産育児一時金及び出産手当金を差し引いた金額を医療費控除の対象としている。
➡ 補填金にあたる場合は医療費から差し引きます。
出産育児一時金 … 出産を給付原因としており、医療費から差し引く補填金に当たる。
出産手当金 … 医療費の支出を事由とした給付ではなく、出産により労務に服することができなかった期間の休業補償であるため、補填金にあたらない。
(基通73-9(2)、健康保険法101、102ほか)
<補填金の例>
・健康保険法に基づく療養費(家族)、高額療養費及び出産育児一時金
・損害保険、生命保険契約に基づく医療保険金、入院給付金
・治療費補填目的の損害賠償金
・任意の互助組織から受ける医療費補填目的の給付金等
◇ 数年分の医療費を同じ年分の医療費控除としている。
➡ 医療費控除の対象となるのは、その年中に支払った医療費です。また、年分ごとに一定額を超え(10万又は総所得金額の100分の5の金額)、かつ、200万円の限度額以内の部分のみであることから、支払年分毎に区分しなければなりません(法73①)。
過年度の申告をする場合は、二重申告に注意しましょう。
◇ 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)の自己負担額を医療費控除の対象としている。
➡ 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)の自己負担額は医療費控除の対象とはなりません。
施設サービスの種類により対象範囲がかわりますが、多くの場合は領収書に医療費控除の対象額が記載されています。
いかがでしょうか。
皆様の申告の一助に、あるいは、申告に向けてのやる気スイッチになれば幸いです。
(逆にやる気を失った、という類の苦情は受け付けておりませんので、あしからず。)
参考文献:税理士会 研修資料
監査部2課 馬場