福利厚生について
2019/06/17 日常
こんにちは
今回ブログを担当させていただきます監査部2課の塩塚です。
今回は福利厚生費について書きます!
福利厚生とは、一般的に企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬(現金支給をしない報酬)と考えられます。
福利厚生を充実させることによって、従業員のモチベーションの向上、人材を確保し、離職率を低下させることが目的であると言えます。
代表的なものとしては社員旅行、残業食事代、健康診断代、企業年金、財形貯蓄、家族手当、住宅手当、新年会や忘年会といったものにかかるものが福利厚生費にあたるでしょう。
今回は、福利厚生費について税法的な観点から主に従業員に対する飲食代にスポットライトをあてて書かせていただきます。
福利厚生費について税法上は明確な定義がされていません。従って国税庁のタックスアンサーの文言を援用するか社会通念上妥当であるかどうかで判断していくことになるであろうと考えられます。
従業員に飲食をさせた場合に経費になるかどうかの基準として
① 従業員と昼食に行った場合
② 従業員との残業の食事代
③ 従業員と忘年会や新年会をした場合
について考えていこうと思います。
従業員に食事を提供した場合のタックスアンサーが
国税庁HP(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm)にあります。
以下引用
役員や使用人に支給する食事は、次の二つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
(1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2) 次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税されます。
(例) 1か月当たりの食事の価額が5千円で、役員や使用人の負担している金額が2千円の場合
この場合には、上記(1)の条件を満たしていません。
したがって、食事の価額の5千円と役員や使用人の負担している金額の2千円との差額の3千円が、給与として課税されます。
なお、ここでいう食事の価額は、次の金額になります。
(1) 仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額
(2) 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額
また、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。
なお、残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
(所法36、所基通36-24、36-38、36-38の2、昭59・7直法6-5、平元直法6-1外)
引用終わり。
① 従業員と昼食にいった場合について
引用元にあります通り会社が経費にできる金額は(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)が税抜で3,500円までです。しかも半額以上は従業員から食事代を受け取らなくてはなりません。したがって従業員から受け取った現金は現出納帳などに記帳を残さなければならないと考えられます。
会社は最大で税抜7,000円まで経費として計上できますが、従業員から3,500円預からなければなりませんから預かった金額は経費のマイナスもしくは雑収入として計上しなければならないでしょう。
② 従業員との残業食事代について
引用元に、「残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。」とあります。残業食事代であれば経費にできそうです。金額の定めもありません。
ポイントとしては、現金を直接従業員に渡さないことでしょう。「現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。」とある通り300円を超えた場合は従業員に対する給料としなければなりませんから、源泉徴収されてしまいます。従業員に払ってもらって後日レシートを精算する方法が良いと思われます。
では社長あるいは事業主の方自身の残業食事代はどうなるのでしょうか。1人の場合は認められないことが多いようです。理由としては、個人的な食事か会社の業務に関係するものかどうかの区別がつけにくいからだと思われます。これが残業している従業員と一緒に食事したとなると業務に関連するという説得力はますと思われますので、所長もしくは事業主の方の残業食事代も経費になると考えます。
③ 新年会や忘年会について
新年会や忘年会というものは従業員に対する飲食代ではありますが、どちらかといえば会社のレクリエーションに近いものがあります。
会社のレクリエーションについては交際費等と福利厚生費との区分のタックスアンサーに以下のように書かれています。
国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261.htm)
交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。
つまり忘年会や新年会は従業員の慰安のためで有ると思われますので、福利厚生費として経費になると考えられます。
ただしポイントとしては、特定の人だけが参加できるような忘年会等は経費としては認められないでしょう。必ずしも全員が参加するわけではないと思われますが、少なくとも従業員全員に声をかけており、従業員皆が参加できるという条件が必要となります。
今回は、福利厚生費の食事代について書かせていただきました。
監査部2課 塩塚