皇族の納税について
2019/07/29 日常
令和元年おめでとうございます。
あっという間に令和は2ヶ月が過ぎ、2019年は半年過ぎてしまいました。
退位の礼はニュースで見て泣いてしまいました。皆さんはどう感じられましたか?
さて、皇族の方々は納税義務があるのでしょうか?少し調べてみました。
実は私たちと同じく税法に従って、しっかりと納税されています。
皇族の方々が国から受けるお金には、皇室経済法という法律に定められており、第3条に内廷費(天皇家の日常費用など)と皇族費(皇族の日常費用など)の給付と定められています。
所得税法では、これらの給付については非課税として定めています(所得税法第9条第1項12号)。
しかし、これらの給付以外に皇族の方々に対する非課税の規定は所得税に設けられていませんので、例えば皇族の方々が給与や報酬を得た場合には、私たちと同様に所得税が課されます。
それでは、相続税と贈与税については、どうでしょうか。
相続税については、昭和天皇が崩御された際に、平成天皇は遺産約9億円を相続し、約4億円の相続税を納税されたそうです。
ただし、相続税法第12条には皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣(こうし:皇位承継順位1位の皇族)が受けた由緒ある物は相続税の課税価格に算入しないと記載されています。
皇室経済法第7条によると由緒ある物は皇位と共に引き継がれます。由緒ある物とは退位の礼で拝見した三種の神器などでしょうか。
それでは、今回の生前退位については、平成天皇から令和天皇への相続ではなく、贈与にあたることになります。
あの三種の神器に贈与税がかかってしまいます。
三種の神器は重要文化財でしょうか?帳簿価額はいくらでしょうか?評価額なら皇族ですら見てはいけない物を鑑定士は見るのでしょうか?皇室の税理士はいくらで贈与税の申告をするのでしょうか?
私のようにひねくれた見方をしてしまう人の対策として、平成29年6月に政府は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」を作り、「・・・皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さないものとする」と定めました。平成28年8月の平成天皇の象徴としてのお務めのお言葉から、一年経たずに特例法を作ったその間の官僚のスピーディーな対応には感心しました。
日本国の象徴である皇室が存続を考えた時に税金対策など野暮ったいことを考えずに皇位継承していただくべきです。
安倍総理は令和という元号について「人々が美しく心を寄せ合うなかで、文化が生まれ育つ。」という意味が込められていると語っています。
心を寄せ合う・・・行動としては難しい世の中です。TVや身近でも確かに欠乏しているように思います。
きっと私自身もそうみられることがあるでしょう・・・。令和と言う年号を見るたびに意味を思い出し、気を引き締めて精進します。
ちなみに平成という元号については「国の内外、天地とも平和が達成される。」という意味でした。
残念ながら、皮肉にも意味合いとは逆の出来事が沢山ありましたが、その上に平和があったと思いたいです。
上皇様(平成天皇)には上皇后様と余生をゆっくり過ごしていただきたいと思います。
監査部1課 吉野伸明