「年末調整について」
2019/12/09 日常
年末調整の時期が近づいてきました。会社員やアルバイトなど、多くの給与所得者の方にとっては、年末時点での各種状況を勤務先へ申告することで、給与から1年間源泉徴収された所得税が調整されることになります。
本日は、関与先様からご質問を受ける事が多い、年末調整が出来る人、出来ない人について書きたいと思います。
個人の所得には、会社員やアルバイトなどの給与所得、アパート経営などの不動産所得、個人で商売をしている事業所得、不動産を売却した場合の譲渡所得など、10種類の所得があります。この内、給与所得の所得税を精算する手続が年末調整で、年末調整では処理できない場合や他の所得と合算して所得税を精算するのが確定申告です。
また、給与所得者の中でも年末調整が出来ない人は以下の通りです。
□医療費控除(セルフメディケーション含む)を受ける人
□寄附金控除(ふるさと納税の場合、5自治体まではワンストップ特例制度の手続きをすれば、確定申告は不要)を受ける人
□雑損控除(災害盗難による控除)を受ける人
□住宅取得等の減税控除の適用初年度(2年目からは年末調整で処理できる)
□1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人
□配当控除や外国税額控除等の税額控除を受ける人
また、給与所得者であっても、2カ所以上の勤務先から給与収入がある場合は、主たる勤務先の給与収入で年末調整を受けていても、従たる勤務先の給与収入と合算して確定申告が必要になります。言い方を変えると、確定申告でしかできない控除(医療費控除や住宅ローン控除、寄附金控除、雑損控除等)がなくて、ひとつの勤務先からだけ給与を受け取っている場合には、給与収入が2,000万円を超えない限りは年末調整だけで所得税の精算が完了します。
その他、12月の最後の給与をもらう前に退職して、その年に再就職しなかった人は、勤務先から年末調整を受けることはできませんので、確定申告により所得税の精算をすることになります。
上記のような年末調整で精算出来ない控除があったがしていなかった人は確定申告をすると、所得税の還付を受けることができます。確定申告は翌年の2月16日から3月15日までにするものと思っている人が多いですが、このような還付の申告は対象期間の翌年1月1日から5年間が有効となります。つまり、2019年の所得税の還付申告であれば、2024年12月31日までが有効となります。
税理士事務所に委託しない年末調整事務をされる企業の給与担当者様は、繁忙期となると思いますが、従業員様から質問があった際には上記の内容を参考にしていただけると幸いです。
監査部 梅北聖人