FUKUDARYU

ひとり親控除の創設

2020/08/03 税務

皆さん、こんにちは。

コロナウィルス感染も終息しないまま・・・猛暑の夏になりましたので、くれぐれもご自愛ください。

さて今日は、令和2年度税制改正の目玉の一つとなります「未婚のひとり親でも控除を受けられるように!寡婦・寡夫控除の見直し」の概要を簡単に解説してみたいと思います。

令和2年度税制改正のポイントに「未婚のひとり親でも離婚・死別した人と同様に税制上の控除を受けられるようになる」があります。

そして、これまでの寡婦(寡夫)控除についても制度が見直されることとなりました。新たな制度は、給与計算の源泉徴収事務では令和2年分の年末調整以降から、個人事業主の確定申告では令和2年分の確定申告から適用することとなります。従業員からの問い合わせが増えることが予想され、事業者は制度を理解して年末調整業務や従業員への説明対応をすることが求められます。個人事業主の場合で、条件に当てはまる場合は、確定申告でしっかりと申告をすることで控除を受けられます。

 

※婚姻歴・性別に関わらずひとり親に「ひとり親控除」を適用

令和元年(2019年)分まで、配偶者と離婚・死別して子を扶養するひとり親であれば寡婦(寡夫)控除を受けることができました。

他方で、未婚のひとり親は、それらの控除を受けられませんでした。また、女性のひとり親が寡婦控除を受ける場合と比べると、男性のひとり親が寡夫控除を受ける場合は控除額が少ないなど、男女の間でも扱いが異なっていました。

令和2年度の税制改正で「ひとり親控除」という制度が新設され、これらの扱いが見直されることとなりました。

「ひとり親控除」では、婚姻歴や性別にかかわらず、同一生計の子(総所得金額等 48万円以下)を有し、かつ本人の合計所得金額が500万円以下の単身者に対して、35万円の所得控除を適用します。「ひとり親控除」を受けられる人では、従来の制度との比較で控除額が次のように変わります。

 

未婚のひとり親            2019年分    0円

                       2020年分   35万円(新設)

寡婦(夫)控除を受けていた人     2019年分   27万円

                       2020年分   35万円(増額)

特別の寡婦控除を受けていた人     2019年分   35万円

                            2020年分   35万円(変わらず)

 

※ひとり親でない寡婦には「寡婦控除」を適用

配偶者と離婚・死別して扶養親族がいない/子以外の扶養親族がいる単身女性は、「ひとり親控除」の対

象となりません。そうした人のうち、本人の合計所得金額が500万円以下の人は、寡婦として「寡婦控除」を受けることができます。控除額は従来の寡婦控除と変わらず、27万円です。

従来の寡婦控除では、扶養親族や同一生計の子がいれば本人の合計所得金額は問われませんでした。しかし、改正後の「寡婦控除」では、扶養親族の有無にかかわらず、合計所得金額が500万円を超える人は適用を受けられなくなりました。また、住民票において本人もしくは同一世帯の人について続柄に「妻(未届)」「夫(未届)」の記載がある、すなわち事実婚関係にある人は、「ひとり親控除」や改正後の「寡婦控除」の適用対象外となります。

今回の「ひとり親控除」の詳細な内容すべてを、このブログで掲載すると長くなりますので、簡単な概略説明に留めさせていただきます。

内容が複雑ですので、年末調整事務はくれぐれもご注意ください。

監査部二課 十塚彰文