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居住用建物の消費税について

2020/08/17 税務

居住用建物の消費税について

皆さんおはようございます。本日は少し専門的ですが春に発表され10月から開始される消費税についてのお話です。

 

春に発表された「令和2年度税制改正大綱」にて話題となった、居住用建物を使った消費税還付スキームの封じ込めが10月1日より適用開始されます。

 

居住用建物の消費税還付スキームとは

 

居住用建物を購入する際には、その建物部分の購入費に消費税が含まれます。しかし、その建物から得られる家賃収入は非課税売上になりますので、建物購入費に含まれる消費税は非課税売上対応となり、仕入税額控除の適用ができません。

 そこで、こういった場合でも仕入税額控除の恩恵を受けるための手法がこの還付スキームです。居住用建物の引き渡しを受けた課税期間に、あえて家賃収入を発生させず、金地金等を売却することによって課税売上割合を100%とし、建物購入費に含まれる消費税に仕入税額控除を適用し、還付を受けるというものです。

 

2.令和2年10月1日から居住用建物の消費税は控除されません。

 

 こういった還付スキームを封じるべく、今回の改正により貸付用住宅として利用しないことが明らかな建物以外で、高額特定資産に該当する居住用建物については、仕入税額控除の適用が認められないこととなりました。

 例外的に、取得後3年以内に住宅以外の貸付の用に供したり、売却した場合には3年間の非居住用賃貸割合に応じて控除ができます。

 

3.改正と還付スキームのイタチごっこ

 

 冒頭でご紹介した「金地金スキーム」の他にも以前は「自販機スキーム」と呼ばれる還付

スキームが流行ったこともありましたが、税法の改正によってそういったスキームが封じ込められてはまた新しいスキームが生み出されるという、イタチごっこの様相を呈していました。

 しかし、今回の改正によって、還付手法を講じる余地がかなり大幅に狭まったことだろうと思います。

 世の中には、本業の売上のほぼ全てが課税売上という事業者会社が圧倒的に多いかと思いますが、こういった会社が、例えば社宅を購入した場合にも仕入税額控除が受けられないことになります。

金売却を繰り返して課税売上割合を恣意的に操作する企業と合わせて、全て一律的に仕入れ税額控除を認めないというのは、大変厳しい改正かとも思いますが、行き過ぎた節税を封じるためにはやむを得なかったのかもしれないと思いました。

 

監査部 福山