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高額特定資産を取得した場合における消費税の改正について

2016/10/11

みなさん。こんにちは。

先週ぐらいから涼しさを感じるようになり、徐々に秋らしくなってきましたね。ただ、涼しくなってくると、風邪をひかれる方が増えてきたように思います。皆様も、お身体には、ご自愛ください。

さっそくではございますが、今日は、今年の4月から改正された、高額資産を取得した場合における消費税の改正について説明したいと思います。


改正の概要は、以下のとおりです。

事業者(免税事業者を除く)が、簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に、国内における(※)高額特定資産の課税仕入れ等を行った場合には、その高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間から、その課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度が適用できなくなりました。
これは、平成28年4月1日以後に、高額特定資産の仕入れ等を行った場合に適用されます。

(※)高額特定資産
一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産(棚卸資産以外の資産で、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で購入価額(税抜き)又は保税地域から引き取られるその資産の課税標準である金額が一の取引単位につき100万円以上のものをいう)をいいます。


上記の改正は、平成22年度の税制改正で、課税事業者選択届出書を提出した事業者と新設法人が調整対象固定資産を取得した場合には、その取得した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、簡易課税制度及び事業者免税点制度が適用できない制度について、要件等を補足・強化したものといえます。

この改正で注意すべき点の一つとしては、現在、本則課税の事業者で翌課税期間より簡易課税を選択するものとしていた事業者(基準期間における課税売上高が5,000万円以下等の要件は満たしている)が、100万円以上の車両等の高額特定資産を購入した場合は、翌課税期間については、簡易課税制度は適用できず、本則課税となってしまいます。

現在、生産性向上設備投資促進税制等により、100万円以上の設備投資を行う事業者は多いように思います。その時には、その設備投資が、調整対象固定資産に該当する資産かどうかを検討すると同時に、上記の要件に該当するのか否かをよく検討しておかないと、簡易課税制度を適用する予定だった課税期間について本則課税の適用となったことにより、当初よりも大きな税負担を強いられることがございます。

今後、設備投資を行う場合は、今まで以上に、法人税・所得税、消費税等のタックスプランニングが、将来の設備投資計画を作成するうえで重要になってきます。

 

吉野直樹