FUKUDARYU

法人の決算月について!

2017/04/10 税務

皆さん おはようございます! 
4月は新年度の始まりそしてお花見の季節ですが 本日は法人の決算月についてです。

個人事業者の方は所得税の確定申告を終え、
事業の規模によってはそろそろ法人成りをお考えの方もいらっしゃるかと思います。
法人成りするタイミングは、所得税と法人税の税率を比較すれば、
法人成りしたほうが良いのかどうか見えてくると思います。
今回は、個人事業から法人成りした(事業の開始とともに法人設立した場合も含む)として、
決算月をいつにしたら良いか考えてみたいと思います。なんとなく決算月を決めるのとは違い、
節税や無理なく法人を経営していく効果が期待できます。

 

 ◆決算日は自由に決められます

たとえば今日、H29年4月10日に法人を設立したとします。すると、今日から第1期の事業年度がスタートです。ゴールの日、つまり決算日は1年を超えて設定することはできません。つまり、最長だと

H29年4月10日 ~ H30年4月9日

が第1期の事業年度となります。実際に多いのは、キリの良い3月31日を決算日として2期目以降は次のような事業年度になるケースです。

 

【A社】

     第1期 平成29年4月10日 ~ 平成30年3月31日

     第2期 平成30年4月1日 ~ 平成31年3月31日

     第3期 平成31年4月1日 ~ 平成32年3月31日

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 1年を超える期間を定めることはできませんが、1年を2以上の事業年度に分けることは可能です。3月決算の法人が多いので“法人の決算は3月”、なんとなくそう思われる方もいらっしゃるかと思いますが、法人の決算日はその法人の定款で定められるものなので、ご自身が希望する決算日を株主総会で決議して決めることができます。3月決算が多いのは、国の予算期間が4/1~3/31の期間に設定されているため、国や地方自治体との仕事が多い場合には、時期を合わせた方が事業に関する計画を立てやすいこと等が影響しているでしょう。

 

 ◆決算日は変更できます!

法人設立時に決めた決算日をその後、変更することも可能です。株主総会を開催して定款を変更して決算日を変更します。税務署に届出も必要です。この場合も、1年を超える期間は定められません。また、変更した結果12ヶ月に満たない月数となった変更後の決算日で、決算書を作成し税務署への申告も必要です。

 

【A社】

     第4期 平成32年4月1日 ~ 平成32年8月31日(3/31→8/31に変更)

     第5期 平成32年9月1日 ~ 平成33年8月31日

     第6期 平成33年9月1日 ~ 平成34年8月31日

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 ◆繁忙期と重ならないか?

 決算時には通常月にはない決算時特有の業務が発生します。これらが繁忙期と重なると通常業務に支障をきたしたり、決算をまとめるのに時間がかかってしまう可能性があります。支障をきたさないまでも、余計な心理的ストレスを抱えてしてしまうことも考えられます。できれば、繁忙期を避けた決算日を定めるほうが良いでしょう。

 

 ◆売上が大きい月はないか、キャッシュフローに余裕はあるか?

 お金の面に着目して決算日を検討する場合に留意することが2点あります。

 ① 売上に波はないか?

 業態によっては、月の売上に明らかな波がある場合があります。その場合は、大きく売上があがる前月を決算日とした方が有利です。決算月に大きな売上があがってしまうと、節税対策の選択肢の幅が狭くなってしまいます。しかし、大きく売上があがる前の月を決算月とすると、12ヶ月の中で最も売上があがる月が1ヶ月目となり、余裕をもって節税対策を検討することができます。

 ②キャッシュフローに余裕はあるか?

 法人の場合、決算月の2ヶ月後が決算・申告の期限です。つまり、決算から2ヶ月以内に納税する必要があります。決算から2ケ月目にあたる月が他の大きな支出が重なる月だと、キャッシュフローを圧迫します。月によって支払いの波もあるかと思います。一般的な例だと、賞与の支払月などは月変動の大きな支払いでしょう。このような支払いと申告期限月=納税期限月が重なると、納税額が多額となる場合には資金繰りを圧迫しかねません。

 

 ◆消費税の免税期間も忘れずに・・・

 資本金が1,000万以上の法人を設立したのであれば、消費税は設立初年度から納税義務があります。しかし、納税義務が生じるか否かの判定の基礎は、資本金1,000万未満の法人では前々事業年度(2期前)の消費税がかかる売上高=「課税売上高」が1,000万を超えるか否かにあります。超えないと納税義務が発生しない可能性が高くなります。前々事業年度、ということは第2期までは前々事業年度が存在しません。つまり、第3期目までは消費税の免税事業者となる可能性がでてきます。(注1)細かい要件についてはH23年の消費税法の一部改正により変更となっていますが、法人設立後の半年間で課税売上高と給与等の支払い額がともに1,000万を超えなければ、2期目も消費税の免税事業者であることになります。また、第1期が8ケ月未満等の短期事業年度(注2)に該当する場合も、第2期目が免税事業者です。

消費税の免税期間をもっとも長くするためには、どうしたらいいでしょう。法人設立日から最も離れた月を決算月にすれば、消費税の免税期間のメリットを最大限享受する可能性が見込めます。第2期は、第1期の開始の日から6ケ月間の課税売上高と給与等の支払い額がともに1,000万を超えるなら、消費税の課税事業者となります。そうでなければ、第2期目も免税事業者のままです。

 消費税のシュミレーションについては複雑な点も多いため、私ども専門家にひとこと相談いただく方が良いと思います。

これらの点を考慮しつつ、ご自身が設立する法人の決算日は何月が一番望ましいのか検討してみては如何でしょうか。また、設立以後、何年か経っている法人であっても今の決算日が最もふさわしいのかどうか、検討してみる価値はあると思います。

 

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(注1) 消費税の免税事業者の要件については、平成23年度税制改正で見直されました。

具体的には、資本金額1,000万円未満の法人は、前事業年度(新規設立法人だと第1期)の前半6ケ月(これを特定期間といいます)の課税売上高が1,000万円超であるかどうかが、当期に課税事業者になるかどうかの判定基準となります。特定期間の判定には課税売上高の代わりに特定期間中に支払った給与等の金額を用いることもできます。この消費税の免税事業者の要件の改正は、平成25年1月1日以後に開始する事業年度から適用されています。

(注2)短期事業年度・・・次のいずれかに該当する事業年度

① 前事業年度が7ケ月以下である場合

② 前事業年度が7ケ月を超え8ケ月未満の場合であって、前事業年度開始の日以後、6ケ月の期間の末日の翌日から前事業年度終了の日間での期間が2ヶ月未満の場合

 

詳しくはこちら、国税庁HP↓ 

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/h2309kaisei.pdf

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/h2309kaisei.pdf#search=%27%E7%89%B9%E5%AE%9A%E6%9C%9F%E9%96%93+%E7%9F%AD%E6%9C%9F%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%B9%B4%E5%BA%A6%27


 

 

監査部 波多江正暁