【相続税の基礎控除額の縮小による影響】
2017/08/28 税務
みなさん、いかがお過ごしですか?
今回は、復習の意味も込めまして、相続税の基礎控除額の縮小による影響につきまして、改めて述べたいと思います。
平成25年度の税制改正により相続税の基礎控除額を40%縮小することに関しては、当時、世間に、非常にインパクトを与えたのではないでしょうか。
相続税は、相続税の課税価格の合計額が基礎控除額を超えて、相続税額があるときに申告する必要があります。
つまり、基礎控除額が縮小するとは、相続税の申告をする人が増えることを意味します。
このことにより、現在はお亡くなりになった方の約4%の方が相続税の申告をする必要があるといわれていますが、この基礎控除額の縮小により、亡くなった方の約10%弱の方が相続税の申告をする必要がでてくるのでは、と予測されています。
しかし、この基礎控除額の縮小による影響は、「今まで相続税の申告をする必要のなかった方が、相続税の申告をする必要がでてきた」という点が強調されがちですが、実は、「基礎控除額が縮小される以前より相続税の申告をする必要がある方」についても、多大な影響を与えるのです。
これは、相続税は所得税と同じく累進課税により税額を計算するため、課税価格が増加すると、その部分については、高い税率により税額が計算されることによります。
実際にどれぐらいの影響があるのか、下記の比較表をご覧いただければと思います。
【課税価格】 : 【改正前の税額】 : 【改正後の税額】: 【差額】
・ 50,000千円 0円 800千円 800千円
・ 100,000千円 6,000千円 12,200千円 6,200千円
・ 200,000千円 39,000千円 48,600千円 9,600千円
・ 300,000千円 79,000千円 91,800千円 12,800千円
※相続人が子1人の場合により試算
このように、「基礎控除額の縮小により、新たに相続税の申告をする必要が出てきた方(上記の課税価格50,000千円の欄)」については、80万円の増税となりますが、「基礎控除額が縮小される以前より相続税の申告をする必要がある方(上記の課税価格100,000千円~300,000千円の欄)」については、620万円~1,280万円の増税となるのです。
この改正につきましては、平成27年1月1日以後の相続・遺贈より適用されますので、それ以前に相続税の試算等をされた方につきましては、税制改正後による基礎控除額・税率による相続税の試算の見直しを、ぜひ、お勧めいたします。
監査部 吉野直樹