FUKUDARYU

資産管理について

2016/07/05

10年以上前の前職での経験談です。
ある県の製造工場の固定資産(償却資産)税が膨大でした。
資産台帳を見ても、よく分かりません。ただ資産台帳の件数が600あるとだけは分かります。
では、現物を確認しようとなりました。

まずは資産台帳の精度を調査するために、現場の人の協力のもと、3日間工場に付きっきりで作業しました。
手や足は傷だらけになり、ズボンは油まみれで帰宅しました。
調べると、
「資産台帳にあるはずの成形機がない。」、「資産台帳にない金型がここにある。」などなど・・・。
3日間で建物、機械の調査を終え、資産台帳自体が疑問だらけになりました。
その他に金型が300を超え、外見からは判断が付かないため、現場の人に協力をお願いして、終了したのは2ヵ月後でした。

2ヵ月後の資産台帳を整理すると、600件あった固定資産が、400件になりました。

原因は、資産の管理機能が失われていました。
調査した主な原因として、
・海外製造工場を立ち上げた際に、機械・備品を売却したことを、経理に連絡がなかった。
・除却、売却の処理を行っていなかったため、市への償却資産税申告時の増減明細書も反映されず、現物の無い資産にも資産税がかかっていた。
・取壊された建物は、取壊し業者が滅失登記をしていたが、市が処理漏れだった(市と言い合いになりました)。
・現場の人に、資産には償却資産税というランニングコストがかかる、遊休資産・償却済み資産でも償却資産税がかかるなどの説明が必要だった。
他には現場の人の協力を得るのにいろんな壁があったりと、今思うと資産の管理機能を回復するために膨大な労力と時間を費やしました。

話には、必ずオチがあります。
翌年の固定資産(償却資産)税は、50万円ほど減少!
意気揚々と社長に報告したのですが、社長からは、「お前達が放置していたからだろう!!当たり前の事をしただけじゃないか!!」と怒鳴られました・・・。

まとめとして、資産を大量に保有している会社の資産管理方法としては、
①半年に一度、資産実査を現場でおこなってもらう。 = 申告前の12月頃には実査を行うべき。
②機械、備品の配置図を作成する。 = 現場の人に「見える化」を促す。
③固定資産に管理シールを貼る。 = 現場の人に「見える化」を促す。
④固定資産取得時に写真を撮る。 = 現場の人に「見える化」を促す。
⑤固定資産管理ソフトは、写真を取り込める物を購入する。 = 経理や社内でも「見える化」を行う。
⑥固定資産について、取得報告書、除却・売却の報告書を現場から上げてもらう。 = 現物管理は現場の人が行うという意識を芽生えさせる。
⑦土地や建物は、市の処理漏れを確認するために、別途Excelなどで管理し、固定資産税の評価額明細と突合する。 = 確認せずに払わない。
以上、7つのルールを経理だけでなく、現場、社内において徹底する必要があります。

資産を大量に保有している会社で、資産管理を構築することが出来ない場合は、ご相談下さい。

 

監査部2課 吉野伸明