FUKUDARYU

消費税の一括比例配分方式から個別対応方式への変更

2018/03/19 税務

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、今回は消費税の仕入控除方式の変更が修正・更正で可能かという事を取り上げます。

結論は不可である可能性が高いのですが、ここに以下の判例を紹介します。

 

 個別対応方式と一括比例配分方式で納付すべき消費税額に著しい差額が生じることが、減額更正の理由となり得るか否かが争われていた事件で、福岡地裁(西理裁判長)はその選択が納税者の選択に委ねられている以上、納税額の格差が顕著になるとしても税負担の公平に反することにはならないと判示、原告の主張を全面的に斥ける判決を下した。

 この事件は、分譲住宅等の建築・販売を行う原告が、一旦は一括比例配分方式を選択して消費税の申告をしたものの、申告後、個別対応方式による場合と比べ納付税額に著しい差額が生じたことから、個別対応方式で計算し直した額による減額更正の請求をしたのが発端。これに対して、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知処分をしたため、納税者がその一部取り消しを求めて争われていた抗告訴訟である。一括比例配分方式による納付消費税額が個別対応方式に比べて著しく高額になる場合、一括比例配分方式の適用は税負担の公平に反するため許されないと主張していたものだ。

 福岡地裁は両方式の長所・短所を踏まえた上で、両方式の選択が納税者の任意に委ねられている以上、その不利益を甘受するものとして選択したと見るほかないこと。また、仕入控除税額の差額が高額になる場合は、具体的な金額を納税者が認識していればあえて一括比例配分方式を選択することは通常考えられないため、原告の利益を不当に害しているとまでは言えないという判断から、原告の主張を棄却している。

 (1997.5.27福岡地裁判決、(行ウ)第4号)

 

一括比例配分方式を選んだ場合は2年間は変更が出来ない点にも注意が必要です。

 

 

監査部3課 寺﨑幸治