【事業承継税制について】
2018/05/28 税務
日中は少し汗ばむほどの季節となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
徐々に暑い季節に向かいますので、体調管理には十分気を付けてください。
さて、今回は、平成30年4月1日から大きく変わった。事業承継税制についてお話したいと思います。
平成30年度税制改正において、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大きく改正され、10年間限定の特例措置が設けられました。
この制度の趣旨は、「世の中の中小企業が、次世代に事業をバトンタッチしてくれるのであれば、相続税や贈与税を大幅に減免しますよ」というものです。
この制度を受けることができた場合、株式にかかる贈与税や相続税をなんと最終的に100%免除してくれるのです!(平成30年1月以降)
※ちなみに平成29年までは80%OFFでしたが、平成30年から100%免除になります。
大奮発ですね。
「今の日本にとって、一番大きな損失は、業績の良い会社が廃業してしまうこと」だそうです。雇用も大量に失ってしまいますし、国としての活力も失われてしまいます。
そのようなことから、もし、事業を次の代に引き続いてくれるなら、税金をちょっと免除したっていいじゃない!という趣旨で、この制度が作られました。
そもそも事業承継税制ってどんな制度なの?
事業承継税制とは、先代経営者から後継者に株式を生前贈与する時か、相続させる時に使える制度です。
生前贈与でこの制度を使う場合には、贈与税はなんと100%OFF !つまり0円になります。相続でこの制度を使う場合には、相続税は80%OFFになります。
そうすると、生前贈与で使った方がいいじゃないかと思いますが、実は、どちらのケースでも最終的に免除になる金額は同じになります。
生前贈与でこの制度を使った場合には、その時の贈与税は0円ですが、その人が亡くなってしまった時に、その人の手元に残っている財産額に、この制度を使って生前贈与した株式を足し戻して相続税を再計算します。そして、その株式にかかる相続税を80%OFFにしてくれるというわけです。(ややこしいですね)
つまり最終的には同じ金額が免除されるということになります。
最終的に相続税の80%も免除してくれるので、その金額は何億円規模になることもあります。それだけの税金を免除してもいいから、世の中の中小企業に頑張ってもらいたい!という政府の願いが込められた制度なのですね。皆さん是非、積極的に活用しましょう!
平成30年からは大幅に拡充して、相続税も贈与税も100%免除になりました!
ほんと大奮発ですよね~
♦事業承継税制を受けるための4つの条件
この制度を使うための条件は、なかなか細かいところもありますが、私の感覚ですと、
非常に多くの中小企業がこの制度を使える条件を満たしていると感じます。
条件には大きく、4つの条件があります。
【1】人の条件
【2】会社の条件
【3】スタートしてから5年間の条件
【4】免除になるための最後の条件
ここの条件のご説明をすると、とても長くなってしまいますので、このブログでは
割愛させていただきます。
もし、気になる方がいらっしゃいましたら、当事務所までお尋ねください。
これまでの事業承継対策は、意図的に会社の利益を一時的に少なくし、株価を圧縮した
うえで、一気に贈与するというやり方が横行していました。
一方で、この事業承継税制という制度は、制度を使うために会社の利益をコントロールする必要は、一切ありません。
また、政府としても中小企業の応援、雇用継続の観点から、大幅にバックアップしてくれている制度です。是非、会社経営者さんは、この制度を積極的に検討していただきたいと思います。
詳細は事務所までおたずねください!
【監査部】 十塚彰文